空飛ぶくじら

世界の美しさを封印

スイートポテト

寒さの中で、野菜は甘みを増す。

それは冬の寒さを生きるため。水よりも砂糖水の方が凍りにくいように、凍る温度を下げるために糖を生成する。

今年は寒い。 わたしもこの冬を越えれば、甘味が増した市場価値の高いヒトになるのだろうか。そんなのは嫌だ。人生の甘いところだけを吸い尽くしたい。他人が決めた枠にはめられた評価など要るか。

こうした甘えたことを口にするたび、わたしは何も成し遂げずに人生を全うするのではないかという焦燥に駆られるときがある。何も成し遂げないことを成し遂げようか。その方が、いっそ清々しい。

 

冬を迎え、年を越すごとにわたしは何者に向かって生きているのだろうか、と考える。社会を憂い、徐々に偏屈になっていく。

 

眠い。可処分エネルギーがあるにもかかわらず、その日1日の消費体力に見合わない分の睡眠を求めてしまう。いや、寒いからエネルギーを過剰に消費しているのか。燃費が悪い。天候・季節に合わせて社会的なヒトの活動時間も変動すればいいのに。生物学に反している。冬は眠るべきではないのか。

 

今日はおやつにスイートポテトを食べた。

ここ最近、運動量に反して食べる量が増えている。この調子では数年後には胃袋がブラックホール化するだろう。そうすれば、ブラックホールの謎は解明され、反重力装置を発明。兵器として活用され、ついには太陽系は消滅する。或いは小型化されたブラックホールのせいで時空は歪み、ついには消滅する。どちらにしろ暗い未来しかない。

今すぐにでも食事制限せねば、地球の未来はわたしの胃袋にかかっている。

今日もご飯おかわりした。平和だ。